前回の流体抵抗の話について、ちょっと気づくのが遅れたけど、例えば車のボディーのデザインについても言えましたね。以前、よく自動車メーカーが、空力特性のナントカ係数がライバル車より良くてとても燃費がいいんだぞ、なんて宣伝に利用してたようです。F1オタクのあなたなら詳しいように、F1レース ではタイヤだけじゃなく、空力パーツのマッチングによっても劇的にレース結果が変わっちゃうようです。
それにしてもホンダが撤退したあとの今年のブラウンチーム、あまりの変わりように奇妙さを覚えます。私にとっては、F1こそ八百長レースがしやすいスポーツだと思えるんです。八百長といえば、あるコメントから興味がわいて、「たかじんのそこまで言って委員会」という番組でやった、「陰謀」をテーマにしたヴィデオ(「たかじんのそこまで言って委員会2009-0614」)を観たんです。で、観たあとでしばらくしてからの感想としては、フルフォードやデーブ・スペクターといったクセのある人物たちを出演させてる、この日の番組まるごとが情報操作のために製作されたと感じられました。
さて、本題です。前回の「MHD側壁コンバーター」によって極超音速機が実現できるはずだけど、それでもプチ氏はまだ未解決な問題が残るとし、それは、「アジャックス」の前面と翼のスラット(ふち)をどうやって保護するのかという問題です。それについての解決法が以下のように記述さています(これこそUFOテクノロジーのひとつなんだろうな)。そして、無線が使えなくなる問題があるとしても、「アジャックス」は完璧なステルス機になると言えそうです。
衝撃波には強烈な熱がともなうのだ。スザメス(航空・宇宙」誌のジャーナリスト)は強力な放電と、ホール効果のふたつの点を指摘している。これですべてが明白になった。ホール効果とは少しばかり微妙すぎる概念で、この種の本で詳細に論じるのには無理があろう。ただある種の条件化ではMHDコンバーターは電極間の電圧より10倍も強い「横断」電圧をもたらすのだ。
アジャックスの飛行速度とされる時速10000kmだと秒速2800mになるから、電磁場Bのために10テラスという(最小限の)値をキープしておくと、1mあたり30000ボルト、つまり1cmあたり300ボルトの電界が得られる。これだと1cmが、必要とあらばそれ以下の電極間の距離の、かなり希薄化した(つまりさらに電気伝導体となった)空気に引き込まれてもゆとりをもって大丈夫と言える。わたしの計算では、ホール効果は300万ボルトの高圧を回収しうるものとなるのだ。
それを翼のスラットに送れば、大変な放電が始まるだろう。現にあの老獪なペナンジェー(ハロルド・ペナンジェーという、白髪のデカいテキサス風アメリカ人で、「アジャックス」の秘密を知るという)がワープドライブについての発表で強調していたのもこの点、とりわけ薄い翼のスラットにおける高電圧放電の発生なのだ。放電によってガスはイオン化され、「プラズマの防護クッション」に変わってしまう。そこに衝撃波が成立するわけである。スザメスの論文ではプラズマについての言及もあった。
「電気=空気力学」もやはり問題になっており、新しい飛行機をプラズマで、イオン化されたガスの繭で囲むときに得られる、レーダー探知不能の状態について論じられている。こうした場合には現象はひとりでに生じる。放電によって翼のスラットにイオン化されたガスが生じ、それがおのずと後方に流れ、最終的には繭か何かのように機体全体をすっぽりと覆ってしまうのだ。このような環境では電磁波は、つまりはこの種のレーダー波や無線電波は、周波数こそ違ってもきわめて効率よく吸収されるのは周知の事実である。
同じ理由により、大気中に帰還する際に宇宙船航空士と連絡を取ることも不可能なのだ。衝撃波の通過によりカプセルは温度を急速に上昇させながら、イオン化された空気に丸ごと包まれるからである。このときカプセルはイオン化されたガス、つまりプラズマにすっぽりと覆われて、無線電波には越えがたい障壁となってしまうのだ。このようなイオン化に必要とされるエネルギーは単なる熱エネルギーである。カプセルそのものはいわゆる「遮断された」断熱シールドで保護されている。アジャックスの場合はこのイオン化はそれよりずっと弱い加熱ではなく、放電によって発生する。
そして、「アジャックス」の飛行方法については、最初の離陸にターボ・ジェットが使用され(上部の空気吸入口は閉じられている)、音速を超えたとたんラム・ジュットが始動し、高度30kmへ上昇するとターボ・ジェットの下部空気吸入口が閉じられて、MHD発電(減速)機を通した上部の空気吸入口から減速された空気を吸入する。そしてマッハ4を超えるとラム・ジェットの空気吸入口も閉じられるとします。そーか、これによってターボ・ジェットによって極超音速飛行できるわけなんか。実にカシコイ。ただ、MHDの理屈からすれば、カミナリさんには弱いということらしい。
MHD発電(減速)機 上部空気吸入口(極超音速時に開けられる)
下部空気吸入口 ターボ・ジェットエンジン MHD側壁加速器 半ば誘導された流れ
(極超音速時は閉じられる)
アジャックスの側面断面想像図
注目すべきは、(訳文がわかりにくいながら)燃料のケロシンを燃焼させる前に放電することによって炭素を発生させ、伝導体としての効率を高める、とあるようだけど、「巻末資料」にもう少し詳しい記述がありました。それによると、燃料は発電機として機能するセクションのホール効果により生じる高電圧を用いて「処理」される。こうして分子C60を、つまり炭素60原子を豊富に含み、伝導性のはるかに増したものとなるのである、ということです。
そんじゃあアメリカの「オーロラ」はどんなもんかいな?とプチ氏は自問して、確かに「オーロラ」は存在するだろうし、それは「アジャックス」と双子の兄弟である、と結論します。そしてプチ氏は自分の考えを確認するために、かのペナンジェー氏と夕食をともにすることにして、野球ケン・・・じゃなかった。ビールジョッキの一気飲みを賭けて、シャーロック・ホームズばりに自説を披露します。そしてみごとに・・・その解説を正しいと認めたペナンジェー氏に一気飲みさせたということです。つまり「アジャックス」は、高空の大気中で衝撃波に乗ってサーフィンしちゃうんだ、と。
ジョッキーを?杯飲んだそのあとの会話で知ったことは、「オーロラ」は1990年から実際に飛んでいて、60kmの高度を10000km/hで飛行し、航続距離は無限!すなわち人工衛星になることができる。さらにすなわち、脱出速度の28000km/hを出すことができるとします。そしてラダー(方向舵)のきかない極超高速では、操縦は電流の強さを変えることで、ジョイスティックでするとします(ジョイスティックを離さないゲームオタクのあなた、パイロットとしての希望があっかも)。
ついでに言っておけば、「アジャックス」にコックピット(操縦室)が見あたらないのが不思議で、私は模型だからなのかと思ってたら、どうやら内部にあって、モニターで外部を見るらしい。確かに極超音速で飛ぶならそういうことになるのかも。大気圏への帰還には、すでに説明したように、「側壁コンバーター」を使ってブレーキ発電してプラズマのクッションを作ればオッケーちゃん。というわけで、このプチvs(カウボーイ)ペナンジェーのポーカー勝負がたくさんの?カラのジョッキとともにお開きになると、ぺナンジェー氏は、プチ氏を恐るべき敵だと讃(たた)えたそうです。
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