2009-06-20

アメリカが実用化した「オーロラ」とMHD魚雷-2


前回は「MHD魚雷」の話を取り上げましたが、今回は10000km/hで飛行するという航空機の方です。「{アメリカが盗んだ}宇宙人ユミットのプラズマ科学」を読んでいくと、当時はアメリカの「オーロラ」よりもロシアの「アジャックス」の方が開発が進んでいたらしい。ただ前回でも触れたように、予算不足で開発が頓挫したということです。以下は「オーロラ」と「アジャックス」の写真(CG?)とイラストで、機体下部のエンジン収容部が似ているようです。

オーロラ

オーロラ (架空の軍用機)(参考)

アジャックス

                 上部空気取り入れ口  下部空気取り入れ口   エンジン

                             アジャックスの側面断面想像図

私は軍事オタクとまではとても言えないけど、海中や空を超高速で航行するための大きな問題は、もち水や空気の抵抗であり、その摩擦熱によって機体が溶ける場合もあるくらいは理解してます。それで思い出したのは、むかし、「最後の有人戦闘機」となるF104なんて、コロッとダマされた?ような戦闘機を自衛隊が買って、マッハ2以上で飛ぶと、どっかが解け出しちゃうとか、どっかの国では、空飛ぶ「ウィドウ・メーカー」(未亡人製造機)とかウワサしてたようです。そう言えば、「空飛ぶ棺オケ」なんて言い方もあったのかな?

ここで余談ながら、どうせ紙くずになっちゃうだろう、日本政府所有のアメリカ国債でバカ高いF22を買うというならいいでしょうけど、血税でF104やその後の戦闘機購入のようなモンキーモデルを買うのならバカらしいムダ遣いです。私は趣味のパソコン自作マシンを組むときは、コスト・パフォーマンスを最も重視しますが、例えばF15ESなんて選択でもいいのでは?
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-15SE_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)
F-15 SE(航空機)

同書によると、超音速の「コンコルド」(引退しちゃったけど)はマッハ240%のエネルギーを「音を立てる」ためや、衝撃波を生じさせるためにムダに費やすとします。さらにマッハ3になると、それは7080%に達し、それ以上となると、燃料代払ってドンチャン騒ぎ・・・もとい、騒音や衝撃波を出すためだけの役立たずになるらしい。そして熱の壁となれば、マッハ2では200度で、マッハ3で倍となり、マッハ4では1000度に達するという。流体に対する理想的なデザインを決めるのはスンゴク難しいようで、要するに、極超音速航空機の開発は、アッチが立てばコッチが立たずのモグラタタキみたいなもんらしい。

そして、それに輪をかけて難しくしてるのがエンジンのようです。タービンを使ったターボ・ジェット(ファン)は羽が解けて使えなくなり、ラム・ジェットエンジンが用いられるとしても、ラム・ジェットエンジンは、マッハ5以下でしか使えないという(なお、派生したものであるスクラム・ジェットエンジンではマッハ515が可能という)。ちなみに「アジャックス」は、ターボ・ジェットエンジンによってマッハ12の速度を出すという話に、プチ氏は当然ながら疑問を持ったという。

次に面白そうな「PDWE」(パルス爆発エンジン?)と呼ばれるエンジンの記述を見つけたので、ついでながら紹介しておきましょう。なぜなら「宇宙人ユミットのプラズマ科学」には、あるアメリカ人がネヴァダの上空を10000km/hほどで飛ぶ、断続的燃焼をしているような筋(ドーナッツ状の)を引いているブツを目撃していて(上に置いた「(オーロラ 《架空の軍用機》」の「その他の目撃情報」参照)、それが「オーロラ」だったという記述があります。もしかしたら「PDWE」を載せているのかも。

90年代のはじめ頃(80年代の終わり頃?)からしばしば、マッハ6を超える極超音速機を米空軍が開発していると言う噂が聞かれます。そのエンジンはパルス・デトネーション・ウェーブ・エンジン(PDWE)であるとも。実験してみましょう(良い子は真似してはいけません)。片方が開いたパイプ、あるいは缶に油を入れて火をつけてみます。条件が良ければ、連続した燃焼にならずにパルス燃焼になります。缶の内部で燃焼によって圧力が高まって燃焼ガスを吐き出し、その直後に空気を吸い込むと言う繰り返しが生じます。

(繰り返しますが、良い子は真似してはいけません)この場合は排気口も吸気口も兼用ですが、別体にして、吸気口に吹き返し防止の為にリードバルブを付けてやればパルスジェットになります。2次大戦においてロンドンを襲ったV1号のエンジンとして有名ですね。PDWEはリードバルブと衝撃波を組み合わせて圧力変動を制御し、超音速でも効率よく運用できると言うものです。アドバンスド・プロジェクトといった会社のサイトに行くと詳細な記事が読めます。
PDWE?と「オーロラ」


    Black Projects: Does the Aurora exist? You Decide-Aurora Black...

ロシアの「アジャックス」は実際に飛行したことがないはずだけど、「航空・宇宙」誌に載っていた、模型を使ったマッハ4での風洞実験写真をプチ氏が見て、とがった先端の波が常識的でないことや、エンジン内の空気の流れがターボ・ジェットではなさそうだし、ラム・ジュットを使っているとしても、高熱で耐えられなくなる問題があるという。つまり、この時点ではナゾだったのでしょう。

風洞実験によるアジャックス先端の衝撃波           常識的な衝撃波

そのあと、「宇宙人ユミットのプラズマ科学」の第2章、「『アジャックス』プロジェクト」には、その謎解きが書かれています。ついでながら、この章の最初には、学会における研究者たちのあまりフェアでないエピソードも記述されていて興味深い。それで肝心カナメの問題解決の方法とは、それはUFOテクノロジーでもあるMHDにあったのです。

MHD発電機は液体と気体とを問わず流体の運動エネルギーを電気に変換するものだ。運動エネルギーはそのときスピードダウンこそすれ、過熱されたりはしないのである。だから発電機として機能する「側壁MHDコンバーター」を用いれば、時速10000kmにもなる空気にブレーキをかけることができる。しかも加熱することなしに、というかいずれにしてもジェットエンジンの前に立ちはだかり、それを「熱と光」に変えてしまう古典的な衝撃波を経由するよりは限りなく加熱の度合いを減らせるのである。考えてみると、このガスを減速させてエンジンへの吸入を音速以下にできることも明らかなのだ。

このことを、プチ氏も当初は気がつかなかったらしい。つまりエンジンのエアー・インテーク(空気取り入れ口)の前部に、前回のMHD魚雷で触れたような加速のためではない、減速「MHD発電機」を設置すればオッケーちゃんということなんです。さらには、その発電機によって得た電気エネルギーを、「側壁MHDコンバーター」が「側壁加速器」として機能することによって、再利用されるということです。なんか電気自動車のブレーキを発電機にして回収する電気エネルギーみたいで、実に効率の優れた感じがするカシコイ理屈ですね。

         「アジャックス」機体上部の空気取り入れ口

                MHD発電(減速)機の電極
                                         MHD加速器の電極

                                    機体下部のエンジン収容部

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