「宇宙人ユミットの意志とは?-2」の続きです。
今までのエントリーで述べてきたように、人類が消滅するという危機が発生した場合、宇宙人ユミットは断固として人類に干渉すると言っています。一見すれば人類にとっては救世主であり、干渉後に実施するという施策に関しての主張からすれば、我々の倫理観から大きく逸脱することもないようです。
しかしながら何度もボヤいているように、ユミットがハッカーになって私をウンザリさせるやり方は、人を尊重しようとする気配はないし、私にしてみれば、友好的な態度などとはとても言えない。肉体を傷つけられたわけでも実際に損害をこうむったわけでもないけど、心理的には、もういい加減かかわりたくもないクソ・ハッカーとなっちゃうわけです(誰かに代わってもらえないかな)。
皮相的ではあるけれど、いちおう人道・人権とかの、我々に植えつけられた普通のモラル感からすれば、ユミットにはまったく異なった倫理基盤があると思えます。すでに書いたように、ユミットの精神と社会は全体主義に完全にマッチしているようで、例えばプチ氏は、「宇宙人ユミットからの手紙」の中で次のようなことを書いています。
ここでユミットの心理の特徴をよく示すエピソードを紹介しておこう。手紙によればある時期に惑星ウンモの住民たちの間に、テレパシー交信器官を侵す病気が発生した。この病気に感染した者がいるおかげで通信は大混乱に陥り、惑星の機能は深刻なダメージを受けた。これは種に対する犯罪である。
感染者たちの居場所はついに探しだされ、彼らはマイクロ波ビームで射殺されてしまった。このような事件が手紙にはじつに淡々と、なんの感興も伴わずに語られている。まるで魂のない肉体から悪性の腫瘍でも切除するように、人の命は抹殺されてしまうのである。こういった話にも、個人よりも種の利益が最優先される傾向が窺える。
人類の持つ感情からくる人道上の問題とか基本的人権(まあ、近年のことであるけど)、あるいは個人の尊重とかの建前からすると、我々にとって上記のようなことは受け入れがたいし、とてもおぞましいことだと感じるでしょう。でも実際の話になると、そのほとんどが事実を隠蔽された幻想であって、結果的には同じことになるか、あるいはもっとひどいことになっているのでしょう。少なくてもユミットには、犯罪者を死刑にするということがないようです。
しかしながらユミットは、感情や情念といったものをほとんど持ち合わせていないようだし、そういったことがベースとなって我々人類を突き動かす希望・熱狂とか幻想・失望なんてのも抱かないんでしょう。ある意味で、我々にとっては生きるための糧(かて)となる感動も感じられない、感情のないロボットみたいなもんかも。
ユミットの宗教については、すでに触れた、現生人類から進化した存在としてのキリスト(「キリストが言ったこととは?」参照)に似た人物がウンモ星の歴史で存在したらしいけど、プチ氏の本を読んだだけでは、実際の輪郭がよくわからない。けれども想像するに、我々のものとはまったく違ったものではないかと思えます。以前のエントリーで触れたことがあるけれど、かつてウンモ星を支配した独裁者が、もしかしたらなんらかの宗教を利用したかもしれませんね。しかし現在のユミットは、もっと崇高な意識を手にしたようだ。
余計ながら、私自身については、ここ数年で考えがガラッと変わってしまい、地球上に存在するどの宗教にも大した興味がわかなくなりました(以前でも似たようなもんか?)。むしろそんな宗教なんかよりも、ユミットの主張する知的生命体の進化に関する考えのほうが、人間の存在理由についての真理を突いているだろうと考えています。
そんなことで私はあーでもこーでもと、いろいろ考えてはみたんですが、結局のところ、我々の持つすべての価値観や意識の下で勝手にユミットを救世主と見たり、逆におせっかいではた迷惑な侵入者としたり、別の色メガネで見たりしたところでなんの意味も持たないようです。なぜならユミットにとって、我々の持っている自覚や、倫理だとかモラルだとか神の教えだとかは、まったくなんの意味も持たないからでしょう。
ユミットにとって重要なのはただひとつのことで、それは宇宙に生息する知的生命体が存在し続け、しかも徐々にそれらが一体となって、宇宙そのものと共に進化するということのみがすべてであり、絶対的な意識なのだ、と言えそうです。すでに既存の価値観や意識で固まってしまった現生人類には、それを理解するなどとても難しいでしょうけど、たぶん我々の新人類(「人間+1」)は、そういった意識を持って誕生するのでしょうね。
したがってはっきり言っちゃえば、我々人類の自覚や意思などには大した重要さはなくて、私がいくらハッカー(ユミット)に怒ったところで頼んだところでボヤいたところで、カエルの面(つら)にションベンなんかもしれない。♪ためー息のでるよぉ~なー・・・・ってな鼻歌を口ずさみながらボヤくしかないか。
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