2007-03-26

21世紀に大変革は起こるか?-1

20世紀が始まったとき、20億だった世界人口は現在65億人に達したと言われています。出現したのが10100万年前と言われる人類は、キリストが現れて西暦が始まったとき2億人だったのに、最近ではたった100年で3倍以上になってしまった。つまり人数を勝手ながら繁栄と仮定すれば、人類は現時点で史上最大の繁栄を極めています。

なんのモンクもなければシャンペンでも抜いて祝いたいところです。しかしながら、様々な公害、貧富の二極化(格差社会)、温暖化などの多くの問題が生じています。これらの問題はここで一々挙げる必要もないくらい指摘され、環境の研究者も地球の限られた資源といったテーマで人口増に警告しています。そしてあなたもすでに問題を認識しているはずです。

では国連が予想しているように、このままの勢いで人口が増えてしまうのでしょうか。直感的結論を言えば、私にはすでに世界人口がピークに来ているように感じられます。規模の問題で相殺しえないと反論されそうですが、減る要因も大いにあるからです。先進国の少子化、アフリカを始めとするエイズ禍、途上国に蔓延する暴力、紛争や戦争。鳥インフルエンザなど、スペインカゼを彷彿させるパンデミックの可能性(14世紀のヨーロッパでペストが発生しました)。温暖化による水没や災害の可能性。蔓延する肥満とストレスによる早世などなどです。そういえば私はまだ観ていないんですが、「トゥモロー・ワールド」というSF映画観ました?

ここで脱線します。肥満に関しては、アメリカの取り組みやこちらのメディアからの情報では、すでに国庫を直撃する大問題だと言われています。そして健康を維持し寿命を延ばそうとすることは、人類にとって最も大きな関心のひとつでしょう。日本食ないしモドキのブームは世界的ですね。素晴らしい効能を並べた健康食品やフィットネスなどのビジネスが大いに繁盛しているようです。

私もこちらの医療とプライベートな経済事情にかんがみ、フトコロを傷めない方法をいろいろ模索していました。その結果、驚くべきことに(これはヨタ話なのでマジに聞かなように)、頭髪など(残念)一部に効果がないものの、目立ち始めた老化現象が4年ほど前から止まって徐々に若返りさえしはじめました。もちろん成長ホルモンなどの人工的な手段ではありません。これ以上書くと、ナンカ売りつけるつもりか?「捏造」するな、と言われそうなので話を戻します。

例えば経済界にとっては、市場を拡大して儲けるには人口が多いほうがいいのでしょう。20世紀の近代化された企業は、利益率を上げるために雇用をなるべく減らすかより低賃金の労働者を採用し、IT化とかロボットを使った自動化などで効率よく大量に生産する。あとは適当な消費者を見つけて競争力のある商品を売ればよいわけです。市場に人が増えればお客さんが増える可能性があるかもしれないけれど、払える能力のある客でなければ経済が成り立ちません。

しかしながら世界には、非熟練の簡単な仕事にも就けない、したがって物を買うための所得がないに等しい人々が、21世紀になった今日でも実に多い。いや、感じでは大多数を占めるとも思えます。驚異的な成長を誇る中国でさえ、国民の大半はその範疇にあると思われます。この類の人口が無秩序に増えればどんなことになるか。ファベーラ(貧民地帯)という混沌を抱えるブラジルに住む私には、過度に増加する人口に恐怖を感じても楽観を持つなど考えられません。日本や先進国の少子化問題は、むしろ限られた地域における問題なのです。

ブラジル政府はもちろんこんなことに気がついています。最悪のケースとして、ローティーンかそれ以前にマッコーニャ(マリファナ)を吸い始め、サッカーボールを蹴飛ばす代わりに本物の火器まで扱うような環境で生まれる子供を何とかしなければ、という認識はあるのでしょう。年で一番気持ちが浮つくカーニバルシーズンになると、政府ご用達のコーンドームをあっちこっちで無料で配り、コーンドームを使いなさい、とTVでコマーシャルを流します。ブラジルはカトリック国なので、コーンドームの使用をこうも開けっぴろげに喧伝することは、使用を禁止している教会の反発を買って当然ですが、政府は、かまうこっちゃない、と例年続けています。

裏を返せばそれほど深刻だという認識があるからです。あまり話を脱線させたくないのですが、カーニバル期間はセックスだけでなく暴力行為も増え、犯罪によるケガにそれが加わると思われます。街道にどっと繰り出す車も増加し、悲惨な交通事故がうなぎ登りになるのもこの時期です。ついでにケガといえば、こちらの無料の医療システムはすでに何回も事実上破綻しており、病院は病院感染の巣みたいなもんで、無料で配られる薬はほとんど払底し、診察を受けるために並んでいるうちに昇天ということもよく聞きます。

「無処罰状態」になる一要因として、死刑廃止があるとも思えます。悪党という表現がぴったりな重度再犯者が3百数十年の刑期を言い渡されたとしても、事実上刑の効果などありません。いつでも脱走される危険性もあります。この件については、人権という複雑な問題と併せてカトリックの影響もあります。こちらで強姦されて身ごもったらどうなるか?カトリックは堕胎を許しません。ひどい環境で不法に堕胎手術して死亡した例がよくあります。あるときなど、強姦された被害者が裁判によってやっとこさ堕胎の権利を得ました。この二つについては、少しずつ法改正の動きがでてきたようです。

『日本は「社会主義」で一番成功した国』、といった表現をよく見かけます。失業率が低くて国民に統制が取れているし、なによりも治安が良い。ヨーロッパの一部とカナダを除けば、どこに似たような国があるのでしょうか。程度こそ異なれ、世界を見渡せばブラジルにある混沌はいまだに大多数を占めていると思われます。

以上のことから、人類の願いである平和と安定した世界への道はいまだ遥か彼方にありますが、そこで私の疑問は次のことになります。前世紀で起こらなかった世界平和は、果たして今世紀に実現するか?ハンチントン的になってきた世界は、これから起こるかもしれない混乱を乗り越えて安定した世界を築けるか?そのために、21世紀に大変革は起こるか?

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