2009-05-18

「ヒットラーの予言」を検証する

「進化する宇宙が現生人類を創造した?」の続きです。

前回のエントリー、「進化する宇宙が現生人類を想像した?」で指摘したように、これから氷河期(正確には、氷河期の中の氷期であるという)が確実に訪れるものと思われます。そして同エントリーの終わりのほうに、「ヒットラーの予言」について挙げました。この「予言」を再読していくと、今までこのブログのエントリーで書いてきたさまざまな「彼ら」のもくろみとの驚くべき関連性に、すぐにあなたは気がつくでしょう。つまりナチス=「彼ら」のように思えます。今回は、そのことを少しばかり掘り下げてみることにします。

このブログで再三指摘したように、「彼ら」には、未来に起こることを「予告」(もう理解されていると思いますが、予言や予知などではもちろんない)するクセ・余裕?があるようです。以前のエントリーで紹介したことのある、「ヒトラーの予言」の中にもそれらが見られます。ちなみに、この記述の中には、コンピューターやロボット、宇宙旅行や原爆のことが「予告」され、ゴルバチョフの出現によってソ連が崩壊することも「予告」されています。以下に関連するもの引用してみましょう。

「人間とは生成途上の“神”なのである!」。ヒトラーの人種・民族思想には、もうひとつの側面があった。それは極めて魔術的な思想であった。すなわち「超人思想」である。彼はいうのである。「天地創造は終わっていない。少なくとも、人間という生物に関する限り終わっていない。人間は生物学的に見るならば、明らかに岐路に立っている。」

「これでナチ運動の深さが理解できたかね。これよりも偉大で、包括的な運動がほかにありうるだろうか。ナチズムを政治運動としか理解せぬ者は、実は何も知らぬに等しい。ナチズムは宗教以上のものなのだ。それは新しい人類創造の意志なのである。自分とその組織は、神に等しい新人類を創造する使命を受けているのだ。」
ヒトラーの「超人思想」の謎

人間はまだ“進化”の究極段階には到達しておらず、いま、もうひとつの進化の分岐点にある。ヒトラーはそう考えており、更に“新人類誕生”の予感さえ語る。「新しい種類の人類が、いまその輪郭を示し始めている。完全に自然科学的な意味における突然変異によって、である。

これまでの“古い人類”は、必然的に衰退の段階に入り、創造力は全て新しい種類の人間に集中することになる。……そう、人間が“神”となる。これこそ、ごく明快な意味なのだ。人間とは生成途上の“神”なのである!」。彼は続けていう。

「人間は、自己の限界を乗り越えるべく、永遠に努力しなければならない。立ち止まり閉じこもれば衰退して、人間の限界下に落ちてしまう。半獣となる。神々と獣たち。それが根源だ。組織もまた、同じだ。立ち止まり、古いものに固執する組織は衰退し没落する。しかし、人間の根源的な声に耳を傾ける組織、永遠の運動に帰依した組織、それは新たな人類を生み出す使命を受けているのだ。」

「しかし諸君、さらに重大なのは、私がいま、これを話している100年後のことだ。それを告げるためにこそ、私は今日を選んで諸君を招いたのだ。今日から100年後といえば、すなわち2039年1月25日だ。諸君にはわからないだろうが、そのとき人類には真の究極の状況が起こっている。そのとき人類は──少なくとも、いま言っているような意味での人類は、2039年1月、地球からいなくなっているのだ。」

私にははっきりしませんが、この2039年という年は、氷期の始まりを示しているのかもしれない。現在の地球は、4000万年前に始まったといわれている氷河期のなかの間氷期にあたり、1万年前ほど前(現生人類が出現したと考えられる時期)に終了した氷期が再び、それも突然訪れる可能性がある時期ということです。例のペンタゴンの予想では、地球温暖化による海流の変化が原因で、北半球では2010年から平均気温が下がり始め、2017年には平均気温が78℃下がるという。以下に引用を続けましょう。

神人のほうも同様で、同じ原因から生まれてくる。ただ突然変異が大脳にプラスに働いて、進化の方向がロボット人間と別方向になるだけだ。その前段階の『超人(ユーベルメンシュ)』たちも、より進化して神人になる場合がある。いずれにせよ、彼らはいまの人間の数次元上の知能と力を持つ。彼らは団結して地球を支配する。それまでのあらゆる危機や問題は、彼ら神人たちの知能と力で急速に解決されていく。」

「ロボット人間たちのほうは、それに従って生きるだけだ。これはある意味では気楽な身分だ。戦争も気候も経済も、神人たちによって制御されてしまうので、ロボット人間たちは神人たちの認める限度で、多くのものを与えられる。食物と住居も、職業も娯楽も恋愛も教育も、時には思想さえも与えられる。

ただロボット人間たちは、与えられ、操られていることを意識できないようになる。自分たちの意識では、何もかも自分で選択して勝手に生きているのだと思う。しかし、じつは神人たちがすべてを見通して、管理工場の『家畜』のように彼らを育て飼うことになるのだ。

こうして人類は、完全に2つに分かれる。天と地のように、2つに分かれた進化の方向を、それぞれ進みはじめる。一方は限りなく神に近いものへ、他方は限りなく機械的生物に近いものへ。これが2039年の人類だ。その先もずっと人類はこの状態を続ける。

それに以下の文章などはどうでしょう。まるで「彼ら」の計画そのものを「予告」しているようだ。

あわれなアラブ4カ国……最終戦争。東西が激突するだろう。ユダヤはそれに勝って全世界……なぜならそれが彼らの『旧約聖書』の約束だからだ。黙っておけば必ずそうなる。しかし、私がそうはさせない。そのための手を、私は死ぬ前に打っておく。それが最後の秘儀である。それによって人類はわれわれを受け継ぐことになる。

しかも見よ、そのあと、わがナチスの栄光、ラストバタリオン……。それが真のハーケンクロイツの日だ。カギ十字の日だ。そのときラストバタリオンが現われる。ユダヤを倒す。世界を支配する。永遠に……そしてナチスは甦る。真のヒトラーの時代が来る。必ずだ。甦ったナチスの軍団とその強力な同盟がそのとき来る。宇宙からの復讐のカタストロフィとともに来るぞ。それからが真の究極だ。真の終わりで真の始まり、真の淘汰、天国の地獄、21世紀のその年に、人類の驚くべき究極の姿……ではそれを明かそう。諸君、それは人類……」
ヒトラーの予言

「彼ら」がアンチ・キリストによって宗教を統一する意思を持っていたことも、すでにここに書かれています。

この本の中で、ヒトラーは自らの宗教観・宇宙観を率直に語っているが、そこには「神」への篤い信仰心とともに、キリスト教や共産主義やユダヤ人への憎悪が混じっているのが特徴である。(※ ヒトラーは「ロシア革命」を「ユダヤ・ボルシェヴィキ」による革命だとみなしていた)。

ところで、一般にヒトラーは「反キリスト」の男として語られる場合がある。ヒトラーのキリスト教嫌いは有名だからだ。しかし、ヒトラーは「キリスト教」を嫌ってはいたが、「イエス・キリスト」という男を嫌ってはいなかった。むしろ敬意を払ってさえいた。興味深いことに、ヒトラーはイエス・キリストはユダヤ人ではなく「アーリア人」だと信じていたのである。そしてイエス・キリストの直接的な教え(教義)は、ユダヤ人によって著しく歪められたと信じていたのである。

つまり、ヒトラーは「キリスト」を憎んでいたのではなく、イエス・キリスト死後に形成された「キリスト教」という「宗教サークル(組織)」を憎んでいたのだ。彼は、キリスト教をユダヤ教の一派として激しく論難しながら、一貫して自らをイエス・キリストに擬し、「ユダヤ人の追放にあたり、私は寺院のイエス・キリストを思い出す」とまで言っていたのである。

「宇宙は地球にしろ、太陽にしろ、他の惑星にしろ、構成物質は同じである。今日では有機生命体がいるのは地球だけとは考えられない。科学の知識は人を幸せにするだろうか? それは分からない。人が間違った知識でも幸せになれることは分かっている。人は寛容さを磨く必要があるようだ。前世紀の科学者は、人間は創造物の王者であると主張していたが、馬鹿なことだ。そのくせ、急ごうと思えば低能な哺乳類の馬に頼るしかないというありさまなのだぞ! こんな馬鹿げた主張があるものか。
ヒトラーの宗教観・宇宙観

そして氷河期(氷期)到来のことも、次のようにほのめかしています。

「私はヘルビガー(氷河宇宙進化論を唱えたオーストリア出身のエンジニア)の宇宙理論を信じたい。我々の時代より一万年前に地球と月が衝突して、月の軌道が今のように変わったというのは決して不可能なことではない。地球が月の大気を引き寄せて、そのために我々の惑星の環境が急激に変化したということもありうる話である。この衝突の前は人間はどの高度でも生活することができたと考えられる。

気圧の制約がないという単純な理由からである。大地は口を開き、できたばかりの裂け目に水が流れ込み、爆発が起こり、そして豪雨が降り始めたのではないか。これでは人間は高いところに逃げるしかなかっただろう。いつの日か、誰かがこうした事実を直感的に関連づけて疑問に答えてくれれば、精密科学がその跡づけをすることができるようになる。それ以外には我々の現在の世界とそれに先立つ世界との間のヴェールを取り除く方法はないだろう。」

なぜか「ヒトラーの予言」サイトには、「黒魔術の秘儀 ─ 死してなお目的完遂」という、今まで私が見たことのなかったページのリンクが追加されていて、そこには次のようなことが述べられており、ミサイルのことだけでなく、ジェット戦闘機(ここにあるナチスのジェット戦闘機の写真とイラストを私は見た記憶がない。スゴイ!)や、ナチスがそっくりアメリカになってしまったようなことも書かれています。ついでにアリャー!なんと!クラークの「地球幼年期の終わり」のプロット(私が覚えていたプロットに多少間違いがあったようなので、ぜひこのページへ行って読んでください)や「2001年宇宙の旅」のことも載っている。

ここで、私の興味は、彼が好んだ「黒魔術」の最高秘儀に結びついていく。というのも、黒魔術の最高秘儀とは、じつは「自分が自ら滅びることで、自分の本望を敵に受け継がせる」という、なんとも奇々怪々なものだったのである。その儀式そのものは、何か複雑な呪文をとなえて「悪魔の大王」を呼び出し、呪いや願いを聞いてもらうものらしく、詳しいことは私にもわからない。私にわかっていることは1つ。ヒトラーの死の直後から、人類は実際に、ナチスの望みを全て受け継がされてしまった、ということだ。その一番いい例は、やはりロケットとミサイルである。
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ヒトラーが予知した2039年の人類の状態は、このありがたくも狂おしい傑作SFのイメージと、とてもよく似ていると思う。といっても、ヒトラーがそれを告げたのは1939年、アーサー・C・クラークがこれを書いたのは1953年。だから、国際的な極秘情報も深く知っているというクラークが、ヒトラーの「究極予言」をどこかで聞いて参考にした可能性はあっても、ヒトラーがクラークのこれを読んで影響を受けた、ということはありえない。

ヒトラーは2039年の究極の予知の中に、「人類の幼年期の終わり」を、人類がいまの次元から別の次元の生物に変身していく、「成長期の始まり」を見ていたのではないか。とはいっても、2人の間には、むろん異質な違いがある。改めて言うのもおかしいが、ヒトラーが言ったのは魔性の予言、クラークが書いたのはあくまでSFだ。

優れたSFに出てくる事件や社会は、『月世界一周』や『海底2万マイル』など、ジュール・ベルヌの作品などがいい例だが、ある程度、実現することもある。しかしその確率は高くない。優れたSFであればあるほど、それは作者の奔放な頭脳から生まれた空想だから。「悪魔そっくりの姿をしてUFOで飛んで来る神々」も、もちろんそうだ。それはクラークの想像力が生んだ皮肉で強烈なキャラクターだが、そんなもの、決してどこにも実在しないし、飛んで来るわけもないと私は確信している。

しかし、ヒトラーの「2039年」は違う。これは空想とは別次元の予知力が見通した未来だ。原爆からゴルバチョフのおでこのアザまで見通していた、世界の魔人ナンバーワンが予知した未来だ。当たる確率はきわめて高いと見なければならない。おそらく100%に近い確率で当たると思う。そのとき世界中が完全にそうなっているかどうかはともかく、「神人」と「ロボット人間」たちが現われて実際に活動する社会が、2039年、必ず来ているだろう。
黒魔術の秘儀 ─ 死してなお目的完遂

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